君の王子になりたくて
場にそぐわない名前にはてなマークを浮かべてみる
「目なんてつけられてないよ?」
伊月くんには何度も助けて貰ってるし、よくしてもらってる
目をつけられるなんてそんな野蛮なことにはなってないのに…
「…それならいいけどさ、あいつ男の俺から見てもかっこいいから
守る、なんて言っといて綴ちゃんが危ない時に傍にいなかった俺とか情けなさすぎ」
ごめんね、と寂しげな表情で見つめられてしまい胸が苦しくなった
それを言うなら響くんだって
「そんなことない…昔からいつだって私の傍にいてくれて、不器用なのに一生懸命で…
響くんだって、か、かっこいい…よ」
思っていただけでも恥ずかしいのに口に出したら余計に恥ずかしくて、私は顔を真っ赤にして俯く
な、なんてことを言っちゃったの私…っ
でもでも、思ってることは事実だし…
恥ずかしさでぎゅ、とスカートを握りしめると大きなため息が聞こえてきた
「あーあ、1回で止めてあげたのに
今のは綴ちゃんが悪いよ」
え…?と思った時には響くんが視界いっぱいに広がって
唇が奪われる
食べられているかのようなキスが何度も何度も降り注いで
「っ…!んんっ!!」
私は堪らず逃げるように顔を背けた