君の王子になりたくて
そういえば私、伊月くんに話したいことがあったんだった
あの時の話まだ聞けてないんだよね
それにお礼も言えてない
思い立つと同時に立ち上がった私は急いで廊下へ掛けていく
「綴…っ、どこいくの?!」
「ちょっと伊月くんのところ!」
驚いた月ちゃんに視線を向けないまま私は2人の背中を追いかける
パタパタと小走りで追いつくと声をかける前に伊月くんがこちらを振り返った
「真田さん…?なにやってんの?」
「あ、あの伊月くんに話したいことがあって…」
驚いたように目を見開く伊月くんにちょっといいかな、と首を引くと伊月くんは一瞬戸惑ったように見えた
「いいけど…
場所変えるか」
向井くんに先行っといて、と声をかけたあと伊月くんは私を連れて廊下を進む
他にも人がいる廊下ではなく場所を移動してくれる気遣いがありがたくてさすが伊月くんだな、なんて思いながら大きな背中を追った