君の王子になりたくて
着いたのは屋上に続く階段の踊り場
「ごめんね急に」
「別にいい、で?早川とは仲直りできたんだろ?」
よかったな、と微笑まれて私はコクンと頷いた
「できたよ…伊月くんのおかげで
本当にありがとう、お礼まだ言えてなかったから」
あの時慰めてくれて、励ましてくれた伊月くんがいなかったら私はきっと今もめそめそ落ち込んでた
まだ出会って日が浅いのに私は伊月くんに何度も助けられてる
感謝の言葉を伝えると、伊月くんの顔がなぜだか少し曇ったように見えた
「あの時、やっぱ励ましたりしなきゃよかった」
え…?
伊月くん…?
言っている意味がわからなくて固まっていると伊月くんは私の目を見つめて言う
「俺、真田さんのこと結構本気で好きだわ」
「へ……?」
予想もしていなかった答えに私は一瞬息をするのを忘れて、捕らわれた伊月くんの瞳から視線を逸らした
ま、まさか…伊月くんが私の事好きだなんて
冗談、だよね…?
「っ…」
もう一度視線を戻せば伊月くんの瞳に籠る真剣な熱
嘘じゃない、嘘だと思う方が失礼なほどに真っ直ぐ見つめられて胸がちくん、と傷んだ