君の王子になりたくて


そんなこんなで今現在女子生徒に囲まれてちやほやされている早川王子は、私がセットした髪に私がアイロンがけしたシャツ、私が閉めたネクタイをして登校しているわけで…


あの姿にするのがどれだけ大変だったか…


だから私は響くんのことを王子だなんて思ってない


あの子はただの超ズボラ不器用人間の甘えん坊です、はい



「綴どーしたの?ぼーっとして」



「え!?あ、ううん、なんでもないよ」



月ちゃんの声で現実に連れ戻されハッとする

しまった、今朝のことを思い出してたら意識飛んでたみたい



「ほら授業はじまるよ〜?
あ、やっぱり早川王子に見惚れてたの?」



「違うよ!?
むしろ逆で…」



「逆?」



逆に呆れていたなんて言えない…

不思議そうに首を傾げる茜になんでもない、と返して席に着いた。




ああ、私の優雅な朝はいつになったら来るんだろう…

そんなことを考えながら私は授業のはじまりの合図を聞いて教科書を開いたー…



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