君の王子になりたくて
「綴ちゃん、こんなこと今言うことじゃないけどさ
受け取ってくれる?」
「…?」
両手で握られた左手に違和感を感じる
なんだろう、と見てみるといつの間にか左手の薬指に光るリング
え…
これって…
「綴ちゃんのこと幸せにできる準備が出来たら、その時は本物渡すから
それまでの、予約」
照れくさそうに見つめられて私は目頭が熱くなった
真ん中に小さなダイアが埋め込まれているリングは私の指にぴったりなじんでいてキラキラしている
こんなの、ずるいよ…
「見ないでぇ…」
ぽろぽろと幸せな涙が零れて、両手で顔を隠した
「さっきのお返し、ちゃんと目に焼き付けとく
…綴ちゃんって意外と涙脆いの知らなかった」
そんなの、私も知らなかったよ…
自分の気持ちがこんなに揺れることなんて今までなかったのに
それもこれも全部響くんのせいだ