君の王子になりたくて

不器用な幼なじみ


♢♢♢


いつも通りの1日を終えて、学校から帰った私は家の前にうずくまる影を見つけた


ん?あれって…

目を凝らして見つめると、そこにいるのは


「綴ちゃん、もう限界家入れて」



やっぱり響くんで


私より先に来ていた彼は玄関に背を預け、私の帰りを待っていたらしい



「ま、また鍵忘れちゃったの!?」



「うん、だから父さん帰ってくるまで入れて?
あと俺お腹空いた…綴ちゃんのオムライス食べたい」



いいよね?と微笑んで私が鍵を開けるのを見ている

響くんはよく鍵を忘れるし、無くす

小学校の頃から数えたら10個じゃきかないんじゃ…
まったくもう、いつまで経っても子供みたいなんだから


「わかったよ…手洗ってまってて?」


玄関を開けると響くんは誰もいない家にお邪魔します、なんていっちょまえに返事だけは元気よくしていた

響くんのお父さんはお仕事が忙しくていつも帰ってくるのが遅いし、私の両親も実家の家業を継いでいるから朝も夜も一緒にご飯を食べる事があまりない

お互い一人っ子で響くんと私は姉弟同然で育ってきた


今だって、我が家のようにくつろいでいる響くんに慣れてしまっているのが怖いくらいだ



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