君の王子になりたくて
「平気だよっ、ちょっと飲み物取ってくるね」
私だけが感じている響くんの真っ黒いオーラに耐えかねて、グラスを片手に部屋を飛び出した
ああ、怖い…
久しぶりに機嫌悪い響くん見た…
昔、響くんが何度か理由も分からず機嫌が悪い時があってその時は思春期かな?なんて思っていたけど
その度に甘え方が酷くなって本当に大変だった
はぁ、とため息をつきながらドリンクバーでお茶を入れる
「真田さん、歌わねぇの?」
するとそこへ、同じく飲み物を取りに来た男の子が横にいた
えっと、たしか向井くんの友達の…伊月くん?
短髪の黒髪にがっしりした体型がスポーツマンな印象の伊月くんはコーラをそそぎながら話しかけてくる
「えっと、私あんまり歌得意じゃなくて…」
「へぇ、可愛い声してんだし歌えばいいのに」
「えっ!?」
い、今可愛いって…言った?