君の王子になりたくて
響くん以外の男の子に可愛いなんて言われるの初めてで驚きすぎて目が飛び出そうだった
…社交辞令ってやつだよね?
「じゃ、じゃあ戻ったら一曲だけ歌おうかな…」
「ん、楽しみにしとくわ」
それだけ言うと彼はグラスを持って部屋に戻って行った
う、うわぁ…っ
私男の子とちゃんと会話できてたんじゃない!?
それに、可愛いなんて言われちゃったし
社交辞令ってわかっていても嬉しいものだよね
伊月くんに話しかけてもらったことによりもしかしてこれが出会いかもーなんて浮かれながら歩き出した所で
「随分楽しそうじゃん」
「っ…」
聞きなれた声が頭上から降ってきて体が固まる
そっと顔を上げるとそこには私の行く道の壁に手をつけて通せんぼしている響くん