君の王子になりたくて
「わかった、おいで
綴ちゃんにはちゃんと教えてあげないとわからないみたいだから」
お茶の入ったグラスを取り上げられ響くんはそれを飲み干して使用済みの箱に入れると私の腕を引いて歩き出す
えっ、ちょっと、響くん!?
まだみんないるのにっ
「ね、ねぇっ、どこいくの!?」
「どこって、綴ちゃんは俺と帰るの」
「なんで!?まってよ…っ!」
茜にも月ちゃんにも何も言ってないのに勝手に帰るなんてしたら心配されちゃう
「だめ、もう決めたから
絶対離さない」
響くんは昔から一度言い出したら聞かないところがある
だからやっぱり手のかかる子なのは響くんじゃんっ
こうなったらもう絶対に言うことを聞いてくれない
仕方なく、響くんに掴まれていない使える片方の手で茜と月ちゃん3人のメッセージグループに『体調が悪くなったから先に帰るね』と連絡を入れる
何を言っても離してくれない響くんに、私は大人しくついて行くしかなかった