君の王子になりたくて
「あのね、響くん
昨日のことなんだけど、やっぱり」
「んー…?」
髪の毛を触られて心地よくなっているのか目を瞑って曖昧な返事をしてこられる
ちゃ、ちゃんと聞いてるのかな?
「私の彼氏になるっていうのはやめない…?
公表するのも」
できたよ、とセットを終わらせて片付けながら言うと一瞬ビクリと反応して響くんがその手をぎゅっと掴んでくる
な、なに…っ?!
「やめない、綴ちゃんは俺が彼氏になるの嫌…?」
捨てられた子犬のような目で見つめられてうっ、と息が詰まる
昔からこの表情で見つめられると…
「い、いや…とか、じゃ…ない、けど…」
私は響くんのお願いを断れない
ず、ずるいよそんな潤んだ目をしてっ!
私がその顔に弱いの知ってるくせに…