君の王子になりたくて
空き教室につくと、響くんはダンボール箱を下ろして窓際に背中を預けた
「綴ちゃん、こっちおいで
風気持ちいよ」
さすが早川王子誰もいない教室と絵になるな、なんて思っていたら手招きされて私も窓際に近づいた
半分だけ開いた窓から秋風が入り込んで来て、上がっていた体温が冷えていく
「ほんとだ、気持ちいい」
あまりゆっくりしている暇はないけど、ちょっとだけこの風を感じてたい
しばらく外を眺めていると、響くんが私の腕を引っ張って
「っ…!?響くんっ!?なにしてるの!?」
「あんまり風に当たると冷えちゃうから」
ぎゅ、と抱きしめてくる
学校でなんて…っ
誰か来ちゃうかもしれないのに
そんな不安と心臓のドキドキが入り交じって目が回る
何度も抱きしめられてはいるものの
こんな状況でなんて恥ずかしくて心臓がうるさいくらいドキドキいって倒れそう