君の王子になりたくて
「は、離して…っ、教室戻らなくちゃ…!」
ぐいぐい、と響くんの体を押してみるけど離してはくれなくて
「はぁ、綴ちゃんて本当可愛い」
耳元に甘い声を吹きかけられる
瞬間ビクリと体が揺れた
…もうっ、響くんはいつも私のこと可愛い可愛いって
それは幼なじみっていう身内びいきでしょう?
顔も平凡、モテるわけでもない私が可愛いわけないのに
「響くん、すぐ女の子にそういうこと言うんだから…っ」
私は男の子に耐性ないんだから、そんなこと言われたら恥ずかしくてどうしていいかわからなくなっちゃうよ
やだ、と顔を背けようとしたけど響くんが私の顎を掴んでそれを阻止する
じっ、と見つめられて合った瞳はしっかり私を捕らえて
「俺、可愛いって綴ちゃんにしか言わないよ」
真剣な顔でそう言われ、私の心臓がドキッと思い切り跳ねる