君の王子になりたくて


半分パニックになりながら私は伊月くんの腕を引き、一目散に保健室へ駆け込んだ



………
……………



「うん、こぶが出来てるけど冷やせば大丈夫よ」



保健室で氷嚢を伊月くんの頭にくっつける先生の言葉を聞いて私は肩の力が抜けていく


よかった…
大丈夫そうで…


このくらいで保健室に連れてくるなと言いたげな伊月くんの目は怖いけど

大事にならなくて本当によかった



「じゃあ、先生用事があるから外すけど
もう少し冷やしてから戻ってね」



そう言って先生は保健室を出ていく

薬品の香りがする保健室に私と伊月くんの2人


まさか、あんな所で伊月くんに助けてもらっちゃうなんて…



「伊月くん、ごめんね私のせいで」



「ほんとにな、こぶくらいで保健室なんて幼稚園児かよ俺は」



むっ、としている彼に申し訳なさがいっぱいになって私は下を向くしかない


< 62 / 140 >

この作品をシェア

pagetop