君の王子になりたくて


「じゃ、俺もう戻るから」


立ち上がった伊月くんは氷嚢を片付けて、保健室を出ていく



「あっ、まって伊月くん
本当にさっきはありがとう…っ
今度なにかお礼を」



「いや、いいよ
いい話聞けたから」



「いい話…?」



「こっちの話、相手が早川なんて分が悪いって思ってたけどそうでもなさそうだし…
じゃ、またな」



分が悪い…?
え?

伊月くんて、響くんとなにか勝負でもしてる?

男の子の考えていることはよくわからず首を傾げると、伊月くんはなんだか意地悪な笑みを浮かべて教室へ戻って行った



はぁ、とりあえずは伊月くんに大きな怪我がなくて良かった


それにしても大変なことになっちゃったな…
昔、響くんとの関係に嫉妬されていた時は小学生だったからこんなことなかったけど


結構怖かった…
階段、気をつけて降りるようにしよう


そんなことを強く思って私も教室へ戻った



< 66 / 140 >

この作品をシェア

pagetop