君の王子になりたくて
A組の装飾はカラフルな風船に彩られ、ファンシーなカーテンやテーブルクロスで女の子受け抜群の空間
さっき見た時も思ったけど、女の子の店員さんが一人もいない
うちのクラスとは真逆だなぁ
そんなことを考えながら案内された席に座ると、執事の格好をした伊月くんがメニュー表を持ってきてくれた
「いらっしゃい、さっきはどーも」
「伊月くん、席ありがと」
「いーよ、早川が抜けてから一気にお客さんいなくなったし」
ほんとだ、よく見たらさっきまであんなに行列だったのに今はその列が跡形もなく消えてる
さすが早川王子パワー…
「これ、早く持ってきてくれる?“店員さん”」
伊月くんと話していると響くんが間にメニューを突き出して何かのセットメニューを指さす
響くんてば横暴な…
「…かしこまりました、“お坊ちゃま”」
クラスメイトに失礼だよ、なんて思っていると伊月くんは嫌な顔ひとつせずにメニューを受け取った