君の王子になりたくて
「え、っと…」
ちらり、と響くんを見ると絶対に行きたくないというオーラがだだ漏れている
めんどくさいって気持ちはわかるけど…
「お願い、本当に困ってるのっ
私1人じゃ重くて運べないし…ちょっとでいいから早川くん貸して?」
そう言われても…
響くんは私のものじゃないし、困ったな…
だけど確かに誰もいないなら響くんが行くべきだよね?
だって同じクラスだもん…
「…行かないよ、俺
2人で文化祭回れる時間無駄にしたくないから」
「響くん…でも、山田さん困ってるみたいだし…」
不機嫌になりつつある響くんを宥めるようにそう言うと、はぁ、と大きなため息をつかれてしまった
「わかった、すぐ戻ってくるから待ってて」
「ありがとうっ!真田さんゆっくりしてって?
あっ、飲み物空だからサービスしとくね!」
ぱぁ、と明るくなった山田さんの表情に苦笑いをしてお礼を言った
響くんに申し訳ないことしちゃったかな…
でも、あそこで断る訳には行かないよね…
ごめんね、と教室を出ていく響くんの背中を見つめる