君の王子になりたくて
「響くん、そろそろ髪のセットくらい覚えようよ…」
「なんで?綴ちゃんがやってくれるじゃん」
…このまま大人になったらどうしよう
いや、今も大人なんだけど
あぁ、先が思いやられる…
「じ、自分でやった方が好きなようにできるよ?」
「綴ちゃんは俺が1番かっこよく見えるようにセットしてくれるから大丈夫」
それは響くんの容姿がいいだけで、私は美容師さんじゃないしセットだって基本のことくらいしかできない
それなのにこの子は私がスタイリストだとでも思っているんだろうか…
「もう、私がいなくなったらどうするのよぉ」
ため息をつきながら何気なくそう呟くと、シャツのボタンを閉めていた響くんの手が止まった
そして私の方を振り返り、じっと綺麗なアーモンド色の瞳で見つめられる