君の王子になりたくて


俺以外の男に綴ちゃんが頼ってるって事実も、俺はあの子の中でどうやったってただの幼なじみだってことも綴ちゃんから言われたら結構効いた

だから心にもないことを言って強がったんだ



「離れてくれる?」


「え…」


「離れてって言ってんの、聞こえない?」



「はぁっ?何よいきなり!
さっきはあんなに大人しくしてたのにさぁ!」



無表情でそう言うと、山田さんは声を荒らげて俺の腕を振り払う

最初から、こうしていればよかったんだ
そうすれば綴ちゃんを泣かさないで済んだのに


悔やんでも悔やみきれない自分に腹が立つ




「いいのね?真田さんがどんな目にあっても」



「それが嫌だから君の要求を飲んだのにね
おかげで綴ちゃんに嫌われちゃったよ」



人手が足りないから、と山田さんに連れてこられた理科室の奥の準備室で持ちかけられた要求


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