魔法の2B芯
別にそいつのことは前から気になっていたわけではないけれども。

面白い奴で、男女共に人気があって、ちょっと不良ぶってるとことかあって、ピアス開けてたり制服の裾切ってたり。
そういうの苦手じゃないけど、特別好きでもないなー。

でも最近、あたしの前の席にいるそいつがなぜか気になっちゃって勉強どころじゃない。
配られたプリント渡してくるときなんか、ほれ、とか言ってあたしの届かない高さに掲げるし、いきなりじゃんけんを仕掛けてくる。なんだこいつ。

席替えー。なんてこった、そいつの隣の席になった。
うわー、これから毎日いじめられて過ごすのかー。左側には注意を払わなくては。

悪夢の中間テスト、初日。やばいな、徹夜で勉強なんてやるんじゃなかった。眠い。
始め。さて、解きますか…かちかち、かち、ぽとり。あれ、シャー芯が、切れた。
そりゃないよ!まだ名前すら書いてませんけど!しかもテスト中…どうしよう泣きたい…

左側から差し出された、シャー芯3本。あたしの机にそっと置かれる。

え、今テスト真っ最中ですよ…待て待て、落ち着きなさいあたしの心臓。左隣のそいつに聞こえちゃうでしょう!
試験官を見る、あ、寝てる。仕事しろー。

そいつのほうをちらと見たら、無邪気な笑顔、そこにあり。
あー、なんていうんだっけ、こう、胸が高鳴るとかそういう気持ち、

恋?









(15歳女、薬で治らない病気にかかりました。)
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