これを運命というのなら
部長から戴いたペンダントが胸元に揺れる。

1ヶ月前から、部長と畑中さんがネクタイを緩めてワイシャツを第2ボタンまで外してる時に、見えてたチェーンの正体はこれやったんや。


「ここから、さっきのビル見えます?」


スカイタワーの展望台で、隣に立つ部長を見上げて訊くと。


見えるで!真ん前の奥のビル。


真っ直ぐに、そのビルを見つめて。
腕組みをしている部長の横顔は、夜景に負けないくらいキラキラしていて、つい魅せられてしまう。


「なんやねん?俺の顔になんかついてる?」


見上げていた私の瞳と部長の瞳が合わさって、咄嗟に瞳を逸らしていて。

ついてませんけど……ついな……です。


何だそれ?と笑った部長は、俺より夜景を見ろ!

来たかったんやろ?


その通りで、来たかった。

まさか、あんな話をした後で部長と来るとは思わへんかったけど。

だから、今日は今夜は妙に胸がドキドキする。

部長に認められて、着いてきてほしい、と言われた喜びの中の不安。

あとは……部長の眩しいくらいの強い意志と自信の宿った瞳を見たから。

このドキドキがある、今なら。


「部長……?そのまま夜景を見ててくださいね?」


「……どうないしたん?」


「どうもしないので、そのままです!」


ずっと触れたかった部長の背中に抱きつくことだって出来た。


急になんやねん?と、言った部長に。


私はこの背中にずっと着いて行くって意味の私からの約束です。
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