これを運命というのなら

story:2

あの出来事から1年後―――。

立地条件も相まって、ワンランク上の鶏肉料理専門店は軌道に乗り始めた。

私はといえば、ホール責任者として店に顔を出したり。

在庫管理チェック、時にはシフト管理、足りなければ応援で入ったり、お洒落なメニュー表作り。

社長と季節ごとに変わるメニューのチェック、ソムリエの資格を活かしたワインの発注、さらに取得した唎酒師を活かして日本酒の発注。

毎日、目まぐるしい日々を過ごしている。

それでも充実した日々を遅れているのは、私を信頼してくれている社長や畑中さん。

こんな私でも着いて来てくれるスタッフ、事務や広報で増えた内勤社員のスタッフが居るから。

社長とは―――ってとこで言えば!


「綾乃……そろそろ……もう1回、あの時の言葉を言ってもええか?」


なんて言われてるんやけど、まだです!とNOって言い続けている。

畑中さんにも、もう言わせてあげな、って言われるんだけど……YESと言えないのは。

社長がモテ過ぎるから!

この前も同伴でよく贔屓にしてくれている繁華街のラウンジの子達言い寄られてたし。

バイトの子にもニャンニャン懐かれてるし。

本人は全くな感じでも、特に贔屓筋のラウンジやキャバクラの子とは上手く付き合っていて、仕事の一貫とは言っても………そこまで合わせる?
付き合う?って思ってしまうから。


ほら、またや!

私が居心地がいいから、といつも座っている社長室のソファーで仕事をしていると。

笑いながら電話をしている。

また顔出すな!だからまた来てな!って、明らかにラウンジかキャバクラの子。

綺麗でスタイル良くて、私とは正反対。

別に容姿やスタイルに嫉妬している訳でもないけれど、スタイルだって良くもないし。

キレイ系でもない、童顔やし。

大学時代の彼氏には、ボール投げたら当たるくらいの普通で中の上くらい?って言われたことあるくらい電話越しの子達に比べられるまでもない。

社長の様子を伺いながらでる小さな溜息は呆れも含まれている。

出来る営業マンなんやろうけど、そこまで上手く合わせなくてもって思うし。

切った後に出る、大きな溜息やめんどくせっ!が本音なんやと思うから。
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