これを運命というのなら
おはようございます!

私は内勤社員の出社時間の1時間前には出勤している。

誰もいないオフィスに入り、挨拶をして社長室を覗くと。

大概、出社している社長にも挨拶をすると――おはよ!と返してくれるんやけど………

いつものデスクにいない?

しかもデスクの電気は付けっぱなし。

ということは…….

私の定位置に視線を向けると、ソファーに収まっていない長い足が視界に飛び込んで来て。

やっぱりそういうこと!

夜中、いや明け方近くまで仕事して――さすがの睡魔に負けてソファーで寝てしまった、という月末あるある。

私も大概やけど、社長はさらに私を越える仕事人間。


さて! 社員のみんなが来る前に起こさんと。
これも1年半で身に付いた私の役目。



「社長!! 起きてください!」


鞄を一応はある私のデスクの椅子に置いて、閉じた瞼の上に置かれた腕を揺すり。

無駄なものが何もないであろう、お腹をポンポン叩くと――

うーん……と、お腹の手を取られて、綾乃?

この時にいつも思う、寝起きの少しだけ掠れた色気ある声が心臓に悪いって。


「はい!おはようございます!」


だから、手を離して挨拶をする。
< 19 / 42 >

この作品をシェア

pagetop