これを運命というのなら
「食べてください!」


俺が戻って来たタイミングで渡されたビルの向かいにあるパン屋の袋とホットコーヒー。

サンキュ、と袋を開けるとパックのサンドイッチが入っていて。

それを頬張って、パソコンを立ち上げたけれどシャットダウンした記憶がない。

おそらく無意識にシャットダウンして、ソファーに移っていたみたいで、朝に綾乃に起こしてもらって。

またやな!って思うのは俺の月末あるある。

集中したら時間を気にしない。

守衛のおじさんが見回りに来て、電気を消しますよ?と言われてデスクの電気を付ける。

その電気を消さないのは、これくらいの灯りがあった方が安心できるから。

両親が共働きで、母は俺が小学校に上がったくらいから夜勤も入るようになって、5つ離れた姉貴と両親の夜勤が重なった日は、姉貴と豆電球を付けた部屋で寝ていたからかもしれへん。

姉貴も何かあっても、俺を守らな、とか。
寝たのを確認してから自分も寝る、とか。
そのための灯り。

姉弟の今でも変わることのない絆を深めてくれた灯り。
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