これを運命というのなら
綾乃の行きたいと言った場所は、屋内型のテーマパークで。

音ゲーやコースターや五感を刺激されるアトラクションを楽しんだ。

いつぶりかわからないくらい、童心に返ったように笑って。

いいストレス発散になって、無邪気に笑って一緒にはしゃぐ綾乃には、さらに五感を刺激された気がする。


「楽しかった!ありがとうございます!」


車に乗ってから、綾乃はアレもコレもとまだはしゃいでいて。

それがあまりに可愛くて、つい笑いながら。

可愛いな、と呟いている俺は今、綾乃のリクエストで舞洲シーサイドプロムナードに続くブリッジを走っている。

窓を開けているから、綾乃のセミロングの髪が風に揺れてフワッと柔らかい香りを届けてくれていて、海風が心地いい。


「海風が気持ちいいですね」


「そうやな、都心で生活してると特にな」


はい!と答えた綾乃にも見てほしい場所は、気に入ってくれるはずだと確信している――

海風が感じられるタワーマンションの一室。

これが自分へのご褒美で、綾乃の答えを待つことなく俺から3度目の告白をしようと決めていた場所でもある。

あー!2度目はいつ?って?

軌道に乗り始めてから冗談ぽく、言ってい?と言い続けていたけれど、痺れを切らして。

2人きりになったオフィスで言ってしまって、フラれたのが2度目。

理由は……モテ過ぎるから。

そん時は、意味わからんって思って。

モテない男よりモテる男のほうが鼻が高くていいだろ?って答えた気がするんやけど。

今でも、そう思っているのは変わりなく。

綾乃には仕事だと割り切ってもらって、俺も少しは嫉妬させない程度に付き合わな、とは思っている。
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