これを運命というのなら
季節を感じさせる期間限定料理にスイーツをひと通り、堪能したその日は――。

一緒に帰ってくれば、ほぼ同時にソファーに座っていて。

お腹いっぱい!腹いっぱい!と、これもまたほぼ同時に呟いていた。


こうやって隣に座って、気付けば肩を抱き寄せられていて。

髪に額に唇が触れて、鼻先に瞼に唇にと下りてくるのに……なんで?

訴えるように陽希さんを見つめると、ん?と額を重ねて、何か言いそうな瞳してるな。


そうやな。

なんで?って聞きたい!

でも、どう聞いていいのかわからへん。

そもそも聞いてするもんなん?

お互いが求め合って、より深くまで知りたいって思えてするもんやないん?

同じ気持ちだとは思っているんやけど……


「見つめたまま百面相すんな。お前が百面相してる時は大概、何か聞きたい時か言いにくい時。モヤモヤしてるくらいやったら……吐け」


頭をポンっとされて言われたら弱いのを陽希さんは知ってか知らずか、陽希さんにされたら素直になってしまうのは3年前から変わらない。

だから―――


陽希さんが……キス以上は求めてくれへん……


言葉が見つからずストレートに伝えるしかなかった。


「……あー……それな……」


一瞬だけ固まった陽希さんは、情けない今までみたことない表情をして。

大きく息を吐くと、笑わんといてや、と。

嫌になるくらいモテるこの人の情けない表情から察するに……
応えは私の自惚れでない限りは、恋愛偏差値が陽希さんよりかなり下回っている私でもわかる答えは1つしかない、きっと。
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