これを運命というのなら
わざわざの酒蔵に出向いて――。

季節限定が出るたびに、それに合う日本酒を仕入れるのは、綾乃なりの拘りなんやろうな。

ソムリエとはいえ、ワインの仕入れに関しては畑中や俺に任せているからこそ……日本酒だけは自分がやらなあかんって。

それに、綾乃はかなりの酒豪で。

綾乃から二日酔いと聴いたことがない。

酒蔵でもかなり飲んでたくせに、全く変わらへん。

強いて言うなら、急に寝ることやろか。


「おいっ!飲みすぎや!」


試飲と称して………

スパークリングの日本酒から大吟醸、本醸造に純米吟醸までひと通り。

まだ大丈夫です!という綾乃の酒豪には、強いと思っていた俺も敵わんわ。

ところでな、と日本酒に関しては無知やから綾乃に訊いてみる。


「スパークリングはわかるんやけどな……あと3種類はどう違うん?味も変わらんかったりするん?俺からすれば全部、一緒やねん」


簡単に言うと、と綾乃の説明によれば。


米・米麹・水だけでつくられるものが純米酒 。

日本古来の酒で精米歩合による規定はなく、濃厚な味のものが多く、原料米の精白度の高低によって味に違いが出て、固有の香味と色沢が良好らしい。


米・米麹・水に醸造アルコールを加えたもので、精米歩合が60%以下のこうじ米使用歩合が15%以上が吟醸酒。

米・米麹・水に醸造アルコールを加えたもので、精米歩合が70%以下 こうじ米使用歩合が15%以上が本醸造酒。

あとは、糖分が少ないものが辛口。
多いものが甘口でフルーティーな味わいらしく。

もっと語るなら、奥はかなり深いみたいやから……機会があればじっくり訊かなあかんな。

こんな知識を役立てる為にも、俺もまだまだ負けてられへん。

綾乃と共に成長するとは、こういうことなんや!と思う。
< 35 / 41 >

この作品をシェア

pagetop