これを運命というのなら
「私を成長させて下さい!」

濃い茶色の瞳で真っ直ぐに俺を見て、深々と頭を下げたあいつ。

濁りのない綺麗な澄んだ瞳に引き込まれたあの日――。

面接官として俺は、隣に座っていた人事部長の静止をも遮り、即あいつを採用した。

こいつならやれる!

俺も共に成長出来る、と思ったからこそ傍に置きたいと思った。


それが、俺の一生をかけて守りたいと。

共に成長し、手を取り合って歩いて行きたいと感じた―――

遡ること13年前に唯一無二の女、藤崎綾乃との出逢いやったんやけど。


俺はあいつの守りたかった心も傷つけていた。

何やってんやろ……

でもな!

俺に振り回される人生を選んだんやろ?

悪くなくはないやろ?

そう、まだほんの僅かでも思ってんなら戻って来てぇや。

俺だけやろ?

綾乃……お前を受け入れられんのは。

なんてな………


イスを回転させて、背後の窓から見る満月は眩しいくらいに明るく見えて……

無邪気に笑う、あいつの笑顔みたいに眩しかった。
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