これを運命というのなら
日曜日の11時――。

私は陽希さんと実家の居間に座っているんやけど、彼氏と一緒に行くわ!と電話したとき。

私にそんな影はないと思っていたらしい母は、驚いた様子で、いつの間に出来たん?どこで見つけたん?と。

元は上司で今は社長で、そう掻い摘んで答えて。

今、目の前に座っている陽希さんを見て。

いい男やわ!って、瞳がキラキラしている一方で父は、きちんと挨拶をした陽希さんとすっかり馴染んでいる。

前の会社の社長が離さなかった営業部長やから、そんな挨拶なんて朝飯前とは知らずに。

そして――。

階段から覗いていた弟に頭を下げて、一緒に覗いていたその娘の佑奈に、おいで、と陽希さんの作られてない優しい笑顔で手招きすると。

ニコッと笑った5歳の佑奈が陽希さんのとこに駆けてきて、ギュッと抱き着いているんやから。

人見知りの佑奈を笑顔で、一瞬にして懐かせる陽希さんの素の笑顔は恐るべしやな。

佑奈のママは、佑奈が2歳になった頃にガンが見つかって……すでに進行していて、治療はしていたものの若いゆえに進行は早く……発覚して1年半後に亡くなった。

それからは4人で暮らしているという話は、陽希さんにはしていたから。

陽希さんは親への手土産とは別に佑奈へ、ハマっているキャラクターのぬいぐるみを用意して。

それを渡すと、ありがと、とニコニコしながら。

一緒に寝るね!

どういたしまして、とまた優しい笑顔の陽希さんに、子供好きやったんや?と訊いてみると。


「好きか嫌いかで言われたら好きな方向やけど、佑奈ちゃんは綾乃の血も流れてるから可愛い」

私が赤面するような答えが返ってきた。
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