これを運命というのなら
「とりあえず、ちゃんとベットで寝て。詳しくは明日訊くから……立てる?」


「歯……だけ磨きたい。気持ち悪い」


フラフラと立ち上がって、ふらふらと洗面所で歯磨きをして着替えた陽希さんは、そのままベットに横になって、すぐに寝息を立て始めた。


こういう状態になったのは陽希さんにも原因はあるわけで。

玲さんをやんわりと交わしていた結果やと思うから。

それでも、やり方が汚い。

そこは許せない。


陽希さんの横に寝転んで、横向きになっている背中に抱き着くと。

着替えたルームウェアからは、陽希さんの香りがして安心する。


大丈夫やで、私がいるから。

もう無理はしないで、明日はゆっくり休んでな。

苦しいのにちゃんと私の所へ帰って来てくれてありがとう。


小さな声で陽希さんに伝えて、私もそっと目を閉じた。


出会いから5年で、良くも悪くも陽希さんの色んな一面を知って。

絆はより強くなったはず。

たくさん守ってくれて、力になってくれた。

今は、私が陽希さんを守る時で。

もっと支えて、力になる時。

そんな決意をしたのに、はじめて陽希さんと身体も結ばれたあの日に見た夢が―…―

正夢になる前兆だったことを知る由もなく、深い眠りに落ちていた。
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