これを運命というのなら
「予約状況と在庫管理表をチェック」


予約表にザッと目を通すと、空いてるな、と呟いて。

今日の19時に俺の名前で3名予約入れといて。


もうその次に出てくる言葉はわかっている。


「ワインですか?」


在庫管理表のワイン欄を広げて部長に渡すと、そう!さすがやな!

半年もこのやり取りをしていれば、だいたいは把握できるんやけど。

褒められて延びるタイプの私が嬉しいのは、今でも変わらない。

それは、26歳にして営業部長になるくらいの人で、社長からも全社員からも信頼の厚い人やから。

この人が居るから、店舗を拡大出来て。

尚且つ、輸入ショップも赤字を出すことなく成り立っている。



「サッシカイアとジャコモ.コンテルノ出すから準備」


ワインが苦手な私でも取れるから、とソムリエの資格を薦めてくれたのも部長で。

あの面接で、成長させてやる、と言ってくれたから?

尊敬できる、ルックスも全てが完璧過ぎる上司に頷いた私は。

ずっと、部長に着いて行けば成長できる!

そう改めて、そんな気がして厨房へ向かう背中に触れたくなる指先を握り締めていた。
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