これを運命というのなら
当然ながら、嫉妬や嫌味を言われることもあれば。
私だけじゃなく、部長もあるんやと思う。
上司に気に入られ、気に入られようと振舞ってるわけでもないのに。
そんなことを気にしないのは、どこかたぶん部長と私が似てる部分があるから。
仕事人間、周りは気にしない。
好きなだからこそ、我武者羅にやるだけ。
そういったとこ。
入社して1年後―――。
フランス料理の店舗に、ソムリエとして呼ばれた。
お客様に、この魚料理に合うワインを、とオーダーされて提供したワインを。
合わない!と、グラスのワインをかけられて。
責任者を呼べ!
その言葉で来てくれた、たまたま仕事の接待で来ていた部長。
「すいませんでした。しかしながら、藤崎はうちの優秀なソムリエです。僕も同じ料理に同じワインを口にしましたが、合わないことはありませんよ。仮にも女性である藤崎に、ワインを浴びさせたことを謝って頂きたい。お客様を守るのも社員を守るのも責任者として大切な仕事なもので」
そのお客様から目を逸らすことなく、言い切った部長に。
舌打ちをして、私に謝ることすらなく。
何枚かのお札をテーブルに置いて、帰って行った。
「大丈夫?」
ただ、その光景を呆然と見ていた私は小さく頷くしか出来なくて。
もう今日は帰って休め、と言われて。
また小さく頷いて。
部長に頭を下げて、スタッフルームに駆け込んでいて。
ドアを締めた瞬間に、涙が溢れ出して。
白ワインで濡れたままの顔とで、もうぐちゃぐちゃやん。
私だけじゃなく、部長もあるんやと思う。
上司に気に入られ、気に入られようと振舞ってるわけでもないのに。
そんなことを気にしないのは、どこかたぶん部長と私が似てる部分があるから。
仕事人間、周りは気にしない。
好きなだからこそ、我武者羅にやるだけ。
そういったとこ。
入社して1年後―――。
フランス料理の店舗に、ソムリエとして呼ばれた。
お客様に、この魚料理に合うワインを、とオーダーされて提供したワインを。
合わない!と、グラスのワインをかけられて。
責任者を呼べ!
その言葉で来てくれた、たまたま仕事の接待で来ていた部長。
「すいませんでした。しかしながら、藤崎はうちの優秀なソムリエです。僕も同じ料理に同じワインを口にしましたが、合わないことはありませんよ。仮にも女性である藤崎に、ワインを浴びさせたことを謝って頂きたい。お客様を守るのも社員を守るのも責任者として大切な仕事なもので」
そのお客様から目を逸らすことなく、言い切った部長に。
舌打ちをして、私に謝ることすらなく。
何枚かのお札をテーブルに置いて、帰って行った。
「大丈夫?」
ただ、その光景を呆然と見ていた私は小さく頷くしか出来なくて。
もう今日は帰って休め、と言われて。
また小さく頷いて。
部長に頭を下げて、スタッフルームに駆け込んでいて。
ドアを締めた瞬間に、涙が溢れ出して。
白ワインで濡れたままの顔とで、もうぐちゃぐちゃやん。