可愛い番犬を育成したつもりがどうやら狼だった件~だけどやっぱり私の犬はとっても可愛い~
「僕がいるのに勝手に婚活なんかして……。しかも仮面舞踏会に内緒で来るとかエリーは本当に悪い飼い主ですね」
「か、飼い主に噛みつくってこと!?」
「では犬らしく舐めてみようかな」

 くすくす楽しそうに笑いながらベッドへと寝かされ、すぐにジェイクが覆い被さるように乗ってくる。
 そのまま私の頬をぺろりと舐めると、舌先で輪郭をなぞるように動かした。

「あっ、や、待っ」
「だから待ちませんってば。本当は僕だって婚約から結びたかったのに、エリーはいつまでたっても僕の視線に気付いてくれないから」

 首筋も舐められ、鎖骨にも舌が這う。
 犬らしく、なんて言いながら肌を伝う彼の舌が熱くて、心臓が痛いくらいに早鐘を打っていた。
 
「助けた犬が、どんな犬に成長したか確かめたいですよね」
「こんなの、犬っていうよりっ」
「犬っていうより?」

 ニヤッと口角を上げたジェイクの瞳の奥に情欲が揺れる。
 さながら捕食者のその笑みにゾクリとした。

「そう言えばエリーの仮面は鳥なんですね。知っていますか? 狩猟犬の獲物が何か」
「え、もの……」
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