可愛い番犬を育成したつもりがどうやら狼だった件~だけどやっぱり私の犬はとっても可愛い~
 嫌な訳がないとわかっていながらそう聞くと、パッと目を見開いて焦ったように否定する。
 そんなジェイクを見て、自然と笑みが溢れた。

「んっ」

 目を閉じて唇を突きだすと、ジェイクが息を呑んだことに気が付いた。
 きっと目蓋の向こうでは動揺し目を泳がせているのだろう。

(ほんと、犬っぽいわね)

 全身で愛を捧げることが当たり前のように振る舞う(ジェイク)は、相手から同じものが返されるとはきっと思っていなかったのかもしれない。
 そしていざ受け入れられて、求められるという想定外に動揺したのだろう。

 ――可愛い。そう思った。

 決して彼が本物の犬に見えている訳ではないけれど、それでも彼をこんな風に育てたのが私なのだとすれば、彼の望む通り責任を取るのも悪くない。

 戸惑いながら恐る恐る重ねられた唇を、今度は私がそっと舐める。
 彼の唇を割るように舌を動かすと、すぐに薄く開き私の舌を招き入れた。

「ん、ジェイク……っ」

 さっき彼がしたように舌を伸ばし動かすと、ぬちゅ、と彼の舌が私の舌に触れる。
 絡め取るように動かすと、舌が強く吸われ扱かれた。

「ん、んっ」
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