可愛い番犬を育成したつもりがどうやら狼だった件~だけどやっぱり私の犬はとっても可愛い~
 初耳すぎて驚きそう聞くと、こくりとジェイクが頷いた。

「僕の愛が大きすぎるから、エリーが同じだけの気持ちを返した時って条件を付けられててさ」
「……え」
「だからいっぱい好きになって貰おうと頑張って側にいたんだよ。他の令息を威嚇するのにも丁度良かったし」
「い、威嚇……」

(つまり私の婚約話を全て潰してたのね)
 
 私に誰からの婚約申し込みがなかった理由が、まさか一番近くにあったとは。
 お父様が彼と同じ想いを返した時という条件を付けた理由も、きっと娘である私を心配したからなのだろう。
 その結果こんなことになったのだが。

「でも、受け入れてくれたってことは同じだけの気持ちを持ってくれたってことだよね?」

 少しだけ顔をあげて、ニッと口角をあげて笑うジェイクに若干呆れつつ、だがそんな彼が嫌ではなかった。

(結局私もとっくに捕らわれてたんだわ)

 ならば仕方ない。
 それに私は彼の飼い主なのだ。
 一度飼うと決めたなら、それは一生大事にして愛し続けねばならない。

 それが、ペットという名の家族なのだから。

「えぇ。これから先も責任を持ってずっと大事にするわ」
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