夜咲く花は愛を語る彼を照らす
 屋台がたくさんあって、私の目は自然と輝いてしまう。

「なにか食べる?」
「うん!」
「子供みたいにいい返事」

 彼にくすっと笑われて、ちょっと恥ずかしくなる。でも仕方ないじゃない、屋台は楽しみの一つだったんだもん。

 フランクフルトに、たこ焼き、クレープを食べて満足したときだった。

 まもなく始まります、という放送で、私達は空いている場所を探した。

「あれ? 久しぶりじゃん!」
 呼びかける声に、彼が振り向く。

 と、そこには化粧が濃いけれどかわいい女性がいた。

 私よりも若そうで、ストーンのついたネイルがきらめく。

 浴衣はレースや帯飾りできらきらしていた。

「ああ……久しぶり」
 彼の声が固くなった。

「なに、誰?」
 彼女の友達が彼女にたずねる。

「元カレ。ちょっと先行ってて」
「わかった」

 彼女の友達がいなくなると、彼女はじろっと私を見た。私はちょっとひるんでしまった。
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