黒色無双
この一言で好きになった……!とかいう展開は一切ないけど。


昔好きだった人をもう一回好きになるのは、あたしとしてはちょっと難しい。



前はあんなに好きだったのに、なにが違うんだろう。

考え方?価値観?感性?


それと、前はイケメンが大好きとかいう感じでもなかった。


いつからこんな面食いになったんだろうね。



自分の席を探して座ると、教室を見渡した。


もうほとんどのクラスメイトが来てるけど、噂のイケメンはいない。


そんな簡単に見つからないなあ。



やっぱり噂は噂だし、もしいなかったら何のために勉強したのって感じ。


将来的には役立つこともいっぱいあることはわかってるけど。



「なあ、名前なんていうん?」


前の子が振り返って声をかけてきた。


しかも関西弁でびっくり。



「ん、清水美嘉です」


あなたは?という意味で、前の子に手を向けた。


「うち山下(やました)紗雪(さゆき)。よろしくなあ」


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