天才と呼ばれた彼女は無理やり入れられた後宮で怠惰に過ごしたい!①
数える日数
シエラ様の嘲るような笑い声が聞こえそうだ。アナベルがシクシクと泣いている。
この状況を打破できる可能性は早くて後3日ほどかかる計算。思ったより行動を早く起こされてしまった。
「嫌疑だけなら、部屋に返してくれてもいいんじゃないの?」
私とアナベルはまるで罪人であることが確定したかのように鉄格子付きの牢屋に入れられた。
「シエラ様はワイアット公爵令嬢だぞ!?公爵様がかなりお怒りらしい」
「私は彼女の解毒をして助けたのに!?」
騎士、王宮魔道士、衛兵が並んでいる。公爵家の令嬢になにしやがる的な空気。犯人を早く突き止めるように公爵から言われていたのだろう。彼らから焦りを感じる。
「知っている毒だからできたのだろう!?あんなに早い解毒は無理だと王宮医師が証言していた」
「それは簡単な毒だったらできたのよ!?だいたい、そんな自分のハンカチを置き忘れる間抜けな犯人なんていないわよっ!」
ガシャン!と鉄格子に王宮魔道士が手を触れる。
「そうだったな……忘れるところだった。魔法を禁じる」
私の入っている牢屋に魔法文字が描かれていく。魔力を封じるためのものだ。
「運が悪かったな。まさか公爵令嬢に手を出すとは、身分も考えずに後宮で暗躍しすぎたな」
騎士が呆れたように私に投げかける言葉。
「少し調べてもらえばわかります!私は何も行動をしてないし、王妃なんてなろうと思っておらず、そんな積極的にお茶会にもパーティーにも出たことは……」
「見苦しい言い訳は止めろ!」
……聞く耳持たず、犯人に仕立て上げるってわけね。悔しくて奥歯をギリッと噛みしめる。
私の言葉などどうでもいいのた。公爵家から早く犯人を捕まえろと再三言われているから焦っている彼らとシエラに、見事に犯人として仕立て上げられてしまった。
彼らが去っていくと、僅かな灯りの地下牢は寒々としていることに気づく。アナベルの表情は蒼白である。
「大丈夫よ。アナベル、あなただけは絶対に何があっても逃がすわ」
「お、お嬢様……こんな……こんな悔しいことがあっていいのですか!?なにもしていないことはアナベルにはわかってますよ!?」
「相手は公爵家だった……シエラ様に安易に近づいた私のミスだわ。ごめんなさい」
「お嬢様は何も悪くありませんよ!」
いや、甘く見ていた。悔しくて、グッと拳を握る。何もしていないから何も起こらないなんてことはなかったのだ。シエラ様は犠牲の仔羊をずっと選んでいた。それがたまたまボケーっとしていた私になったのだ。
ウィルが帰ってくるまで、早くて3日ほどだ。
「クロードに手紙を渡してあるのよ。ウィルに私に何かあったら、陛下にしっかり調べてもらえるようにお願いしてほしいって言付けてあるわ」
「えっ……ここまでの事態を想定されていたんですか!?」
「ウィルもたぶん想定していたわ。私にわざわざ身辺に気をつけるように言いにきたもの」
二人共、どんな思考はしてるんですか!?とアナベルが驚いている。
「遠征は長くて一週間ほどって言っていたわ。残り3日……生き延びるわよ」
カビ臭い、暗い地下牢で私はアナベルを励ましつつ、自分をも励ました。
私の優雅で怠惰な生活は終わってしまったようだ。
この状況を打破できる可能性は早くて後3日ほどかかる計算。思ったより行動を早く起こされてしまった。
「嫌疑だけなら、部屋に返してくれてもいいんじゃないの?」
私とアナベルはまるで罪人であることが確定したかのように鉄格子付きの牢屋に入れられた。
「シエラ様はワイアット公爵令嬢だぞ!?公爵様がかなりお怒りらしい」
「私は彼女の解毒をして助けたのに!?」
騎士、王宮魔道士、衛兵が並んでいる。公爵家の令嬢になにしやがる的な空気。犯人を早く突き止めるように公爵から言われていたのだろう。彼らから焦りを感じる。
「知っている毒だからできたのだろう!?あんなに早い解毒は無理だと王宮医師が証言していた」
「それは簡単な毒だったらできたのよ!?だいたい、そんな自分のハンカチを置き忘れる間抜けな犯人なんていないわよっ!」
ガシャン!と鉄格子に王宮魔道士が手を触れる。
「そうだったな……忘れるところだった。魔法を禁じる」
私の入っている牢屋に魔法文字が描かれていく。魔力を封じるためのものだ。
「運が悪かったな。まさか公爵令嬢に手を出すとは、身分も考えずに後宮で暗躍しすぎたな」
騎士が呆れたように私に投げかける言葉。
「少し調べてもらえばわかります!私は何も行動をしてないし、王妃なんてなろうと思っておらず、そんな積極的にお茶会にもパーティーにも出たことは……」
「見苦しい言い訳は止めろ!」
……聞く耳持たず、犯人に仕立て上げるってわけね。悔しくて奥歯をギリッと噛みしめる。
私の言葉などどうでもいいのた。公爵家から早く犯人を捕まえろと再三言われているから焦っている彼らとシエラに、見事に犯人として仕立て上げられてしまった。
彼らが去っていくと、僅かな灯りの地下牢は寒々としていることに気づく。アナベルの表情は蒼白である。
「大丈夫よ。アナベル、あなただけは絶対に何があっても逃がすわ」
「お、お嬢様……こんな……こんな悔しいことがあっていいのですか!?なにもしていないことはアナベルにはわかってますよ!?」
「相手は公爵家だった……シエラ様に安易に近づいた私のミスだわ。ごめんなさい」
「お嬢様は何も悪くありませんよ!」
いや、甘く見ていた。悔しくて、グッと拳を握る。何もしていないから何も起こらないなんてことはなかったのだ。シエラ様は犠牲の仔羊をずっと選んでいた。それがたまたまボケーっとしていた私になったのだ。
ウィルが帰ってくるまで、早くて3日ほどだ。
「クロードに手紙を渡してあるのよ。ウィルに私に何かあったら、陛下にしっかり調べてもらえるようにお願いしてほしいって言付けてあるわ」
「えっ……ここまでの事態を想定されていたんですか!?」
「ウィルもたぶん想定していたわ。私にわざわざ身辺に気をつけるように言いにきたもの」
二人共、どんな思考はしてるんですか!?とアナベルが驚いている。
「遠征は長くて一週間ほどって言っていたわ。残り3日……生き延びるわよ」
カビ臭い、暗い地下牢で私はアナベルを励ましつつ、自分をも励ました。
私の優雅で怠惰な生活は終わってしまったようだ。