天才と呼ばれた彼女は無理やり入れられた後宮で怠惰に過ごしたい!①
ウィルとの時間
「へー!リアンは、まだ陛下に会ったことないんだー」
ウィルは本の整理を手伝いながらそう言う。今日はクロードがいない。朝、早いためだろう。時々、ウィルは早起きして私とここで話すようになった。
「私の推理では陛下は……男好きなんじゃないかと思うのよっ!」
バサバサバサッと棚の上から本が落ちてくる。
「ウィル!ちゃんと本を持っててよ。何してるのよ!?」
「ご、ごめん。いきなりとんだ推理だったからびっくりしたよ」
「なんで?普通じゃない?最初から後宮に来る気ないし、美女ぞろいなのに興味ないって……それしかないでしょう?けっこう経つのに、後宮に来ないわ、パーティーにも来ないわ……それっておかしくない?少しくらい気にならない?」
「確かに……でも僕が見る限りは、そんな男好きな感じの方では無かったよ」
「あら?そうなの?じゃあ、なんだろう?でも後宮は避けてると思うのよ」
喋りながらも、私は本に数字を入れて、順番に並べていく。
「図書室の本がきれいに並べられたな。これって、リアンのアイデア?」
「そうよ。見やすいし探しやすいでしょ?」
カテゴリーにわけておいた方が探す手間が省けるし、きちんと番号順に並べることで、本もなくならない。
「流石だね。どこにいてもリアンはきっと自分の持てる力を使おうとするよね」
「こんなの大したことじゃないわ。時間をかけず、本を探す手間を省きたい自分のためでもあるもの……ウィルのほうが騎士団に入って、これからどんどん活躍していくと思うわよ」
あ、最後の方はちょっとスネ気味に聞こえたかも。ウィルはボーッとしてても勘は鋭い。きっと気づかれたと思うが、サラッと聞き返してきた。
「リアンは後宮、嫌なの?」
「うーん、3食昼寝付きで読書できて最高!……だと思うけど、なんか生きがいがないわよね。でも王妃になったり陛下の目に止まったりするくらいなら、今のほうが幸せね」
「なるほど……そっか……良かった。そんなに嫌な環境じゃないんだね。いじめられたり嫌がらせを受けたりしていないか心配だったよ……まぁ、リアンがキレて、本気だしたら後宮の損壊は免れられないだろうから、今のところ大丈夫なんだなって思ってたよ」
「ちょっと待ちなさいよ?なに人を破壊魔のように言ってるのよ!?」
ウィルがはぁ……とため息をついた。
「思い起こせば、リアンに出会った時、水をぶっかけられ、ある日は爆風で吹っ飛ばされかけ、師匠との手合わせでは周囲を大火事にしかけ、気に入らないやつを氷の中に閉じ込め……どれだけ周りが苦労してきたか!」
「そんな小さいことをいちいち覚えてるの?」
私の返事に小さいことかなぁとウィルの頬に一筋の汗が流れる。
「リアン、陛下が嫌なら僕と逃げる?」
「は!?……何言ってるのよ。それは死罪になるでしょ。馬鹿な末路はごめんだわ。今、私は法律の本も読み、勉強してるのよ」
「えー!ロマンがないな。だけどそういうことを迷いもなく言うのはリアンらしいよ」
そうウィルが笑った。
「冗談には付き合えないわ。さて、またね。ウィルも騎士団頑張りなさいよー」
ハイハイと去っていくウィル。練習風景とか見てみたい気もする。王宮の仕事とかどんなふうなのだろう?そうウィルの背中を見送りながら私は思ったのだった。
……まあ、興味を持っても仕方ないわ。今の私にできることは一つ!怠惰に後宮で生活するために自分の能力をフルに活用しまくって、怠惰を極めることだわ。後宮に帰りましょう。
ウィルは本の整理を手伝いながらそう言う。今日はクロードがいない。朝、早いためだろう。時々、ウィルは早起きして私とここで話すようになった。
「私の推理では陛下は……男好きなんじゃないかと思うのよっ!」
バサバサバサッと棚の上から本が落ちてくる。
「ウィル!ちゃんと本を持っててよ。何してるのよ!?」
「ご、ごめん。いきなりとんだ推理だったからびっくりしたよ」
「なんで?普通じゃない?最初から後宮に来る気ないし、美女ぞろいなのに興味ないって……それしかないでしょう?けっこう経つのに、後宮に来ないわ、パーティーにも来ないわ……それっておかしくない?少しくらい気にならない?」
「確かに……でも僕が見る限りは、そんな男好きな感じの方では無かったよ」
「あら?そうなの?じゃあ、なんだろう?でも後宮は避けてると思うのよ」
喋りながらも、私は本に数字を入れて、順番に並べていく。
「図書室の本がきれいに並べられたな。これって、リアンのアイデア?」
「そうよ。見やすいし探しやすいでしょ?」
カテゴリーにわけておいた方が探す手間が省けるし、きちんと番号順に並べることで、本もなくならない。
「流石だね。どこにいてもリアンはきっと自分の持てる力を使おうとするよね」
「こんなの大したことじゃないわ。時間をかけず、本を探す手間を省きたい自分のためでもあるもの……ウィルのほうが騎士団に入って、これからどんどん活躍していくと思うわよ」
あ、最後の方はちょっとスネ気味に聞こえたかも。ウィルはボーッとしてても勘は鋭い。きっと気づかれたと思うが、サラッと聞き返してきた。
「リアンは後宮、嫌なの?」
「うーん、3食昼寝付きで読書できて最高!……だと思うけど、なんか生きがいがないわよね。でも王妃になったり陛下の目に止まったりするくらいなら、今のほうが幸せね」
「なるほど……そっか……良かった。そんなに嫌な環境じゃないんだね。いじめられたり嫌がらせを受けたりしていないか心配だったよ……まぁ、リアンがキレて、本気だしたら後宮の損壊は免れられないだろうから、今のところ大丈夫なんだなって思ってたよ」
「ちょっと待ちなさいよ?なに人を破壊魔のように言ってるのよ!?」
ウィルがはぁ……とため息をついた。
「思い起こせば、リアンに出会った時、水をぶっかけられ、ある日は爆風で吹っ飛ばされかけ、師匠との手合わせでは周囲を大火事にしかけ、気に入らないやつを氷の中に閉じ込め……どれだけ周りが苦労してきたか!」
「そんな小さいことをいちいち覚えてるの?」
私の返事に小さいことかなぁとウィルの頬に一筋の汗が流れる。
「リアン、陛下が嫌なら僕と逃げる?」
「は!?……何言ってるのよ。それは死罪になるでしょ。馬鹿な末路はごめんだわ。今、私は法律の本も読み、勉強してるのよ」
「えー!ロマンがないな。だけどそういうことを迷いもなく言うのはリアンらしいよ」
そうウィルが笑った。
「冗談には付き合えないわ。さて、またね。ウィルも騎士団頑張りなさいよー」
ハイハイと去っていくウィル。練習風景とか見てみたい気もする。王宮の仕事とかどんなふうなのだろう?そうウィルの背中を見送りながら私は思ったのだった。
……まあ、興味を持っても仕方ないわ。今の私にできることは一つ!怠惰に後宮で生活するために自分の能力をフルに活用しまくって、怠惰を極めることだわ。後宮に帰りましょう。