ポジティブ☆シンパシー
 そうしてUFOキャッチャーをかれこれ1時間くらいした。特に何も取れなかったが、友達と一緒というだけでとても楽しかった。

「うおーいっけえ!」

「あーっ惜しい!でもナイスプレー!」

「よし、次青井さんやって」

「え一私下手だって!」

「下手なりに取ってみて」

「どういうこと!?」

 かつての自分からは考えられないようなはしゃぎ方をしながら──いつまでもこんな日々が続けばいいのに、とまるで恋愛ドラマによくあるような台詞を、水姫はしみじみと思った。

 ──けれど、人は変わっていく。永遠なんて存在しない。
 水姫や太陽は確かに変わった。根は変わらないものの、人前で自分を出せるようになったことは大きな変化だ。
 これから先、どんな変化が訪れるのか。いつまでこうしていられるのか。
 楽しさの裏で、水姫は何となく、漠然とした不安を感じていた。
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