ブライアンのお気に入り~理想を抱いてアメリカにホームステイしたら学園のキングに目を付けられた件~
知らない男子に吹っ飛ばされて
ブライアンとジュリアの急接近に、胸を騒がせているのはカザネだけではなかった。人気者はブライアンだけでなく、クイーンであるジュリアもまた男子たちの憧れの存在だからだ。
大抵の男子は、自分ではブライアンに敵わないと戦う前から諦める。けれどジュリアの元カレであるウィリアムだけは、表立ってブライアンに突っかかって来た。彼は以前ジムが話していた最終学年のジョックで、ブライアンに学園のキングの座もジュリアも奪われたと逆恨みしていた。
久しぶりに現れたかと思えば、学校の廊下でいきなり
「俺の彼女にキスしやがって」
と難癖を付けて来たアメフト部の脳筋野郎に、ブライアンは辟易した。彼は自分が振られたのはブライアンのせいだと思い込んでいるが、ジュリアはウィリアムの男らしさと横柄をはき違えた性格に呆れて、ずっと前から冷めていた。とっくに別れた元カノを、まだ自分の恋人扱いしている辺り、ジュリアの苦労が伺える。
「もうお前の恋人じゃないだろ」
冷たく言い返すブライアンに、ウィリアムは余計に熱くなって
「だとしても本気じゃないヤツが彼女に触るな!」
それ自体は正論だとブライアンも思ったが、
「俺が構わなくても、向こうから寄って来るんだよ。愛しの彼女に真剣なお付き合い以外はさせたくないなら、本人に言いな。余計にウザがられるだけだろうけど」
自分で決めたことではあるが、ブライアンもカザネと離れて気持ちが荒んでいた。そのせいでつい攻撃的な言い回しになってしまった。ブライアンにせせら笑われたウィリアムは、いよいよカッとなって
「このっ……!」
ブライアンに殴りかかろうと大きく腕を引いたが、
「だ、ダメッ!」
たまたま通りかかったカザネが、ケンカを止めようと飛び出して来た。とつぜん現れたカザネに驚いて、ブライアンが硬直している間に、
「なんだよ、お前は!? 放せっ!」
自分の腕に巻きついたカザネを、ウィリアムは乱暴に振り払った。ブンと腕を振った勢いで、小柄なカザネは吹っ飛び、
「カザネ!」
壁にゴッと後頭部をぶつけて、そのままくたっと動かなくなった。まさか死んだのかと、ブライアンは慌ててカザネに駆け寄った。呼吸と脈を確かめると、ただ気絶しているだけだと分かったが、
「そ、ソイツが悪いんだ。関係無いくせに邪魔するから」
ウィリアムも相手が気絶したことに動揺していたが、罪悪感があるからこそ自分のせいではないと言い訳した。ブライアンはキッとウィリアムを睨みつけると、
「だからって気絶するほどの勢いで、女を壁に叩きつけていいと思ってんのかよ!?」
いつも飄々としている彼には珍しく、感情的に相手を怒鳴った。ブライアンの発言で、ようやくカザネが女だと気づいたウィリアムはギョッとして
「お、女!? 分かるわけないだろ! そんなナードみたいなファッションで……って、グギャッ!?」
言い終わらないうちに、ブライアンに横っ面を殴られた。さらにブライアンは、ウィリアムの顔面を鷲掴みにすると、
「テメェも同じ痛みを味わえ」
「ちょ、待っ……! ガアッ!?」
壁に後頭部を叩きつけて気絶させた。
その後。ブライアンは気絶したウィリアムを放置して、カザネを医務室に運んだ。置き去りにされたウィリアムは、10分後に通りかかった生徒に発見されるまで、廊下に倒れたままだった。
大抵の男子は、自分ではブライアンに敵わないと戦う前から諦める。けれどジュリアの元カレであるウィリアムだけは、表立ってブライアンに突っかかって来た。彼は以前ジムが話していた最終学年のジョックで、ブライアンに学園のキングの座もジュリアも奪われたと逆恨みしていた。
久しぶりに現れたかと思えば、学校の廊下でいきなり
「俺の彼女にキスしやがって」
と難癖を付けて来たアメフト部の脳筋野郎に、ブライアンは辟易した。彼は自分が振られたのはブライアンのせいだと思い込んでいるが、ジュリアはウィリアムの男らしさと横柄をはき違えた性格に呆れて、ずっと前から冷めていた。とっくに別れた元カノを、まだ自分の恋人扱いしている辺り、ジュリアの苦労が伺える。
「もうお前の恋人じゃないだろ」
冷たく言い返すブライアンに、ウィリアムは余計に熱くなって
「だとしても本気じゃないヤツが彼女に触るな!」
それ自体は正論だとブライアンも思ったが、
「俺が構わなくても、向こうから寄って来るんだよ。愛しの彼女に真剣なお付き合い以外はさせたくないなら、本人に言いな。余計にウザがられるだけだろうけど」
自分で決めたことではあるが、ブライアンもカザネと離れて気持ちが荒んでいた。そのせいでつい攻撃的な言い回しになってしまった。ブライアンにせせら笑われたウィリアムは、いよいよカッとなって
「このっ……!」
ブライアンに殴りかかろうと大きく腕を引いたが、
「だ、ダメッ!」
たまたま通りかかったカザネが、ケンカを止めようと飛び出して来た。とつぜん現れたカザネに驚いて、ブライアンが硬直している間に、
「なんだよ、お前は!? 放せっ!」
自分の腕に巻きついたカザネを、ウィリアムは乱暴に振り払った。ブンと腕を振った勢いで、小柄なカザネは吹っ飛び、
「カザネ!」
壁にゴッと後頭部をぶつけて、そのままくたっと動かなくなった。まさか死んだのかと、ブライアンは慌ててカザネに駆け寄った。呼吸と脈を確かめると、ただ気絶しているだけだと分かったが、
「そ、ソイツが悪いんだ。関係無いくせに邪魔するから」
ウィリアムも相手が気絶したことに動揺していたが、罪悪感があるからこそ自分のせいではないと言い訳した。ブライアンはキッとウィリアムを睨みつけると、
「だからって気絶するほどの勢いで、女を壁に叩きつけていいと思ってんのかよ!?」
いつも飄々としている彼には珍しく、感情的に相手を怒鳴った。ブライアンの発言で、ようやくカザネが女だと気づいたウィリアムはギョッとして
「お、女!? 分かるわけないだろ! そんなナードみたいなファッションで……って、グギャッ!?」
言い終わらないうちに、ブライアンに横っ面を殴られた。さらにブライアンは、ウィリアムの顔面を鷲掴みにすると、
「テメェも同じ痛みを味わえ」
「ちょ、待っ……! ガアッ!?」
壁に後頭部を叩きつけて気絶させた。
その後。ブライアンは気絶したウィリアムを放置して、カザネを医務室に運んだ。置き去りにされたウィリアムは、10分後に通りかかった生徒に発見されるまで、廊下に倒れたままだった。