この薄汚い世界に、何を求める。
それでまた不機嫌になっても困るし、サブスクと美味しいご飯は我慢できる。
あの空間で別のことに気を取られて、味のしなかったご飯。
おかげで何も満たされず、家に帰ってから食べるのも時間が押しすぎている。
「やっぱり食べたかったな…」
腕時計の短い針は十一の少し右を指している。
仕方ない。今日は諦めて土日に一層満喫できる計画を立てよう。
そう決めて地面ばかり見ていた視線をまっすぐ前に向けると、少し先のベンチの下で蹲っている猫を見つけた。
三毛猫で、子猫から大人になりかけの華奢な体をしている。