この薄汚い世界に、何を求める。




「ギャッ」


「降ろしてほしいの?ごめんね」




雑音の混じった鳴き声がして降ろすと、その場に止まったまま辺りを見渡している。


私の家の偵察かな。



私はその間に、お風呂を済ませてしまおう。

ご飯は美味しくなかったし、ご飯を食べたいところだけど、もうすぐ日付が変わりそうな時に優先されるのは、食事より睡眠。



「あ、ご飯!猫ちゃん、お腹空いてるのかな」



まだ固まったままの猫ちゃんに質問はせずキッチン下の扉を開けると、三つ連なってパッキングされているツナ缶を見つけた。


猫ってツナ缶食べれるの?マグロ缶だっけ?



家にあるのは、ツナ缶だけ。じゃあもう有無を言わさず、ツナ缶を食べてもらおう。


平たいお皿にツナ缶を移し替えて、隣に水も置いた。



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