この薄汚い世界に、何を求める。
突然の告白とも取れる話し方に、固まってしまった。
猫に懐かれるのは嬉しいけど、初対面の男性に懐かれるのは訳が違う。
もちろん、好いてもらえるのは有り難い。でも、どう返せば良い?ありがとう?
返しに悩んでいると、青年に笑われた。
「固まっちゃった(笑)打ち解けるための、言葉のあやだったんですけど…。まぁ、俺こういうやつなんで」
机を挟んで伸ばしてきた手を握ると、ふわふわの髪をまた揺らしながら満面を笑みを向けられる。
出会って数十分の人を理解できるほど、臨機応変に動けない私は、頬を引き攣らせて笑みを返した。
千代鶴 誠と名乗った青年は、今の私と同じように、自分の意見が堂々と言えずに悩んでいたらしい。