この薄汚い世界に、何を求める。
「今はそんな風には見えないですけど」
「今はね。解放されると、人間って弾けるんですよ。あなたは?花井 るい。かな」
「…やっぱり出て行ってもらっても良いですか?それか警察に通報…」
「ごめんごめん!人間にしてもらう前に、聞いたんです。だから知ってるだけ」
神様に教えてもらったとか、信じがたいことを話しているけど、猫から人間に転生したことを受け入れたのもあり、あり得ないと思うことも受け入れることにした。
携帯を取りに行こうと上げかけていた腰を下ろして、コーヒーを一口飲んでまた話を聞く姿勢を作る。
「俺のことは誠って呼んでください。あなたは?るいって呼んだほうが良い?」
「初対面で呼び捨ては…、さすがに壁を作ります」
「じゃあ、るいさん。これなら壁はない?」
「はぁ…、まぁ」