この薄汚い世界に、何を求める。
「幸せなんて、大きなことじゃなくても良いんですよ。今日もご飯を美味しく食べれたとか、いつもより寝つきが良かったとか。小さな幸せを見つけられると、それだけで人生が豊かになっていきます」
「そういえば、昨日すぐ眠れました。いつも、なかなか眠れないのに」
「それが、るいさんの小さな幸せですよ。そういうの、積み重ねていきましょう」
何かの博士みたいな口振りで、人差し指を立てた誠さん。
誠さんの言葉に大きく頷くと、歯を見せて私に笑いかけ、窓の外の空を見上げた。
私も真似て、空を見てみる。
雲は所々集団を作っているけど、青い空の割合が大半で、薄い雲だから風で靡いているように横に伸びている。
「良い天気ですね」
「ね、本当に。俺は晴れが好きです。だから晴れて幸せです」