この薄汚い世界に、何を求める。
「今日辞めるって言って来なくても良いから。辞める準備はこそっとして来ても良いかもしれないけど、土台を作ってからで」
「分かりました。行ってきます」
笑顔で手を振って見送ってくれている。
扉が閉まって鍵が締まる音がすると、体に力が入った。
深呼吸して、負けないと決めて会社へ向かう足を出す。
劇的に状況が変わらないのは分かっているけど、そうあって欲しいと期待している。
私が変わったんだから、周りも変わってくれるだろうと。