星降る夜に、あのラブソングを。


「柊木さん!」
「…………」


 しばらく交番で待機させられていた私。警察の人が貸してくれた漫画を読みながら過ごしていると、そこに武内先生が現れた。こんな時間なのに、学校にはまだ人が居たんだ。


 息を切らしている武内先生は、いつものスーツではなくラフな格好をしている。先生は鞄から名刺を取り出し、警察に差し出した。

「桜川高校教諭の武内と申します。うちの生徒がお世話になりました」

 警察は武内先生に両親のことを説明してくれた。今回1回目だから学校による引き渡しをするけれど、もし2回目があったら今度は児童相談所に通報するとのことだった。


 要は、学校の方から親を説得しろということだ。


 ……そこまで、学校に迷惑を掛けられないのに。

 児童相談所に連れて行かれて、児童養護施設にでも入れてくれたら良いのに。


 だけど私はそう思うだけで、実際にその気持ちを警察と武内先生に伝えることは出来なかった。


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