星降る夜に、あのラブソングを。
第 9 話 文化祭と同級生
武内先生と不動産屋に行って、仮押さえをしていた部屋を契約した。両親も同意書を記入して返送してくれ、物事は順調に進んでいる。
先生が住む部屋の2階。
そこが、来週から私の生活拠点になる。
私の生活費は本当に負担してくれるらしい。
だけどそんなの申し訳なくて、私もアルバイト先を探し始めた。
スマホやパソコンが無いから、求人情報が書いてあるフリー冊子で。
こんな私が働けるのか心配だったけれど、もうそんな甘ったれたことを言っている場合ではない。
できるかできないかは、その時に決める。
やる前から「できないかも」って思うのは……多分、違う。最近はそう思えるようになってきた。
ただ……アルバイトのことはまだ先生に話せていないけれど。
「また1歩進んだね。住む場所が決まって安心だよ」
「先生……本当にありがとうございます。そしてごめんなさい」
「謝らないで。僕は嬉しいんだから」
好きだと伝えられたあの日から、先生はそれに関して何も言わない。
ふいに優しく頭を撫でてくれる。
それだけだった。