星降る夜に、あのラブソングを。
妹と弟の2人を残して私は1人『サクラ学級』に戻った。
もちろん、用件は一切受け入れずに。
冷たい、酷い。
何を言われても良い。
私にはそれ以上のことをしてきたのだから。
「……」
今もまだヒラヒラと舞っている雪。
それを横目に、お弁当を食べ始めた。
武内先生が作ってくれるお弁当。
色鮮やかで、色んなおかずが入っていて美味しい。
妹に去り際、連絡先だけは教えて欲しいと強請られた。
けれど、あれからスマホを持っていない私。
意外とスマホって持っていなくても問題無かった。
契約をする為にお店へ行くのも面倒なのと、費用の面で問題があるから持っていないのだが、何故か「薄情者!」と妹に罵倒された。
持っていないと言っているのに。話が通じない妹だった。
「……」
お花の形をしたニンジンを箸で掴むも、可愛すぎて食べられない。
武内先生はさり気なくこういうことをしてくれるから好き。
夕食の時もそう。
私の分だけ、可愛くしてくれている。
「ていうか……好き?」
ふと出てきた言葉に思わず首を傾げる。
何が好き?
可愛いご飯? 武内先生……?
「……」
箸を置き、また窓の外を眺めた。
ヒラヒラと舞う雪。
眺めていると、頭に浮かんでくる両親と妹弟の姿。
除け者にされる前の、5人で過ごした数少ない記憶。
「……嫌なこと思い出した。最悪」
自然と浮かんできた涙を拭い、再び箸を手に持つ。
武内先生が来ない昼休みは、何だか少しだけ寂しかった。