恋の手助けならウィッチクラフトにお任せ
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カフェを出て、来るときに歩いた道をまた戻った。
「ねえ」
亜理紗が前方を指差した。
「さっき、あんな看板あった?」
「ええ?」
よく見れば、シャッターの下りた小さなお店の脇に、木製の立て看板がひっそりと置かれている。
「私いつもそんな注意して歩いてないから自信ないけど、言われてみるとなかったかも……」
近づいて正面から見てみると、ペンキで『Witchcraft Shop』と書かれている。
「ウィッチ……クラフト……ショップ?」
亜理紗がスマホで調べてくれた。
「魔女が作ったものを売ってるお店ってことみたい」
「へー、魔女。面白そうだけど、お店閉まってるね」
「違うんじゃない? 看板の矢印はこっちの階段を指してると思う」
「階段?」
本当だ。
矢印の奥には外階段がある。
シャッターの閉まったお店の上に行けるらしい。
「行ってみない?」
そんなの、行くに決まってる。
「だけど、入り口をのぞいて、ヤバそうだったら引き返そうね?」
「わかってる」
ひとり分しか幅のない錆びた階段を、亜理紗、私の順にカンカン甲高く鳴らしながら上った。